歯科衛生士の役割は非常に重要
近年、歯科衛生士の役割は予防、歯周治療、メンテナンス、口腔ケアなど多岐にわたり非常に重要な役割となってます。
質の高い治療を行う為にも歯科衛生士は欠かせない存在です。
より技術や知識レベルの向上はより求められています。
OBG研究会は歯科衛生士の技術や知識レベルを一緒に高めて行くセミナーを開催しております。
特に歯磨き指導「TBI」は衛生士の大きな役割の一つです。
TBI(ティービーアイ)とは、「トゥース・ブラッシング・インストラクション」の略。
歯磨き指導のことを言います。
治療はブラッシングに始まりブラッシングに終わるともいわれています。
しかし、ブラッシングの指導を嫌がる患者やブラッシングをおざなりにしている方は多いものです。
歯磨きをしていても、正しく磨けているとは限りません。
磨き残しのフォローを適切なブラッシング方法をアドバイスする事で、患者様ひとり一人セルフケアの技術能力を高めて頂くことができます。
また、口腔異常の緩和や歯周病予防へつながるので、患者様のモチベーションが上がっていきます。
TBIによって開口障害や口腔異常などの患者様が改善されている方がいます。
ここでは一部ですがご紹介をします。
左顎の疼痛が・・・TBIで改善!?
他医院での矯正治療中で「顎の疼痛、開口時の疼痛、歩くのが変だ」を主訴に突然来院しました。
位相差顕微鏡で自身のプラークを見せながらプラークコントロールの意義を説明し、ブラッシング指導をしますと伝えたところ・・・
「顎が痛いのに何で歯磨きなんかしなければならないんだ。」と怒り出しました。
強い疼痛を伴う開口障害の患者さんの多くはこのような反応をします。
しかし、TBI直後疼痛が消失すると「何をやったんですか?」と何度も尋ねられました。
78才 左頚腕疼痛、頚腕症候群
78才の方で遠方から来院されました。
主訴は「左頚腕疼痛、頚腕症候群が気になる」でした。
問診すると右上7を抜歯してから左右頬粘膜を噛むようになり咬合が安定しないとのことでした。
治療を受けているようで写真のスプリントを持参しました。
口腔内写真を見てもらうとアングルのⅡ級2類で下顎が後退しやすく補綴をすると低位咬合になりやすい方です。
顔貌、開口時写真はTBI前後です口角が水平になり顔貌も整いました。
32才男性 起床時の口腔異常
32歳男性、「起床時常に左の歯牙に疼痛があるので複数の歯科医院で診てもらったが左上4に早期接触があるので削合しなければならないといわれた」を
主訴に来院診察するとどのような体勢でも左上4の頬側咬頭に強い早期接触があった。
TBI後この干渉はかなり軽減したのでしっかりブラッシングするよう指導した。
1か月後(来院2回目)早期接はわずかになり本人もかなり楽になり気にならなくなったとのこと。...
翌月には早期接触はほぼ消失し、主訴は改善した。歯牙の調整は一切行っていない。
写真ではTBIで顔が締まり、下顎の左偏位が若干緩和されたように見える。
顔の大きさは背景から倍率の違いではないことがお分かりいただけると思う。
TBIで顎位が改善すると認識すれば、このような結果が得られると考えている。
70才男性 顔面麻痺による開口障害
「30年前三叉神経痛で神経ブロックで対応したが改善せず。
開頭手術で改善したが神経ブロックの影響で顔面神経麻痺になった」と来院。
TBI後健側の筋が緩んだのか開口し易くなっているのがお分かりいただけると思います。
口腔粘膜の三叉神経に対するバランスの良い刺激が大脳皮質の第一次体性感覚野に投射し、そこからの
刺激が第一次体性運動野に反応し顎顔面の筋肉のバランスが改善すると考えています。
顔面神経麻痺の改善に口腔内の刺激は関係ないと考えがちですが、身体は全てつながっていますので、
これらのことは否定できません。
衛生士が無意識に行っているルーティーンワークが思わぬ形で患者さんの健康に大きく貢献している
ことを自覚意識しないといけないと思います。
私達の行っているセミナーで体験、納得されると考えています。